【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


やはり、レスター王子は完全にゴーレムの中に取り込まれているんだ。
いくらアスター王子のメダリオンがあっても、無事かどうかまではわからない。

これは、わたしの責任だ。
近衛騎士を目指しながら、王族を護れなかった。わたしの不甲斐なさが招いた事態。

「……申し訳ありません、アスター王子。これは、兄上たるレスター王子を護りきれなかったわたしの責任です」
「いや、気にするな。これだけ大規模かつ本格的な侵攻をされたら、一人でできることはたかが知れている。むしろ、おまえはよくやった」

アスター王子はそうおっしゃってくださるけれども……。

「でも、レスター王子が無事かは分かりません。もし彼になにかあったら……」
「そのことだが……おまえが兄上に身に着けさせたメダリオンのおかげで、状態は手に取るようにわかる。兄上はお元気そうだから安心しろ」

アスター王子がにっこり笑ってそうおっしゃって、少しだけほっとしたけど。やっぱり、贈られたメダリオンを身につけていない事を気づかれていたんだ。

「すみません…わたしは魔術が使えないので、レスター王子を護るためやむなくメダリオンの防御魔術を使用しました」
「ああ、確かに……やむを得ない事情だな……ミリィ」
「はい?」

ん?なにか、アスター王子の笑顔がいつもと違うような…?

「そのことで、また後でじっくり話をしようか?」
「え、はい」

なぜか彼の笑顔から、いつにない迫力を感じた。