【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


アスター王子からの情報は心強いけれども、ユニコーンの拘束が解かれた魔獣兵もゴーレムもまだ暴れている。

「アスター王子、ひとまずレスター王子を救出し呪術師を捕まえねばなりません…あのひときわ大きなゴーレムが呪術師のものです」

わたしが指差す先にいるゴーレムは、王宮より遥かに高くそびえ立つ巨大さを誇る。
あちこち燃える炎の照り返しと月明かりで、より不気味に見えた。

「石人形(ゴーレム)か、また厄介な術を使うな」

アスター王子が愛馬ファルコに跨りそうおっしゃる。わたしの傷の治療をしようとしたから、「わたしに時間を割く暇があれば、一刻も早くレスター王子を助けてください!」と発破をかけたんだ。

わたしもアクアに騎乗し、駆け出したアスター王子の後を追う。馬上の会話は慣れないと舌を噛むけれど、わたしもアスター王子も慣れたものだ。

「ゴーレムはどうすれば止められるのですか?破壊しても素材があれば再生してしまうとお父様から聞いたことがあります」
「核となるものを破壊するしかない。今回はおそらく呪物を中心に構成されているはずだ」

わたしの疑問点にアスター王子はすぐに回答をくださった。

「呪術師が乗るゴーレムは、おそらく兄上が核となっている。一筋縄ではいかないだろう」