「ブヒヒーン!」
アクアが後ろ脚で蹴っても、茨の檻はびくともしない。
おそらく呪術がかかっているんだろう。次に斬ろうとした時にはブラックドラゴンの短剣が弾かれてしまった。
(……一体、どうすれば!?)
しかも茨の檻はゆっくりゆっくりと空間が狭まり、やがてわたしたちの身体に絡みついてくる。
まず、アクアの脚に絡みつき動きを封じられた。
「ビヒヒン!」
「アクア!待って、今取るから!」
すぐに下馬してアクアの脚に絡みついた茨を両手で掴んだ。棘が突き刺さり、鋭い痛みが走る。手のひらが血まみれになったけど、アクアのためだ。構うもんか。
「くっ…うぅ!」
グサッとさらに茨は締め付けが強くなり、わたしの身体ごとアクアを拘束する。でも、あきらめない。
全身全霊の力を使い、茨を掴んで引き剥がす。ゆっくりとだけど動き始めて、そのままの勢いでアクアの脚からどうにか外した。
でも、その瞬間。再び茨はわたしたちを捕らえる。
「!」
茨が鋭い棘でわたし達を突き刺し、はずれないように強く強く全身にくまなく絡みついた。
「くっ…」
力を込めれば込めるだけ、棘がより深く突き刺さる。それでもどうにか外そうと藻掻いている中で……
突然、目の前で白刃が煌めき、斬られた茨の拘束が外れる。
そして……
今、一番聞きたかった声が響く。
「ミリィ、大丈夫か!?」



