「よっ!相変わらず頑張ってんな」
「フランクス!今から鍛錬?」
「ああ、ちょっと最近忙しくてな」
ずいぶん夜も遅くになってから、フランクスが鍛錬場にやって来た。彼の言うとおりに、近衛騎士は2ヶ月後の御成婚の儀に向けてピリピリしてる。
諸外国の首脳や重鎮が来られるのだし、普段は招待されない地方の豪族や下位貴族もやってくる。
王族に準じる婚姻式の物々しさは、予想以上だった。
まずは身体を解すストレッチや準備運動をしながら、フランクスが意外なことを言い出した。
「そういや、ミリィ。聞いてるか?」
「なにが?」
「王女殿下の話」
王女殿下…?
確か、現国王陛下にはお二人の御息女がいらっしゃる。
ご長女の第一王女ユリネ殿下。アルベルト王子殿下と同じ第3妃殿下がご生母でいらっしゃる14歳。
次女でいらっしゃる第二王女、マリア殿下はレスター殿下の妹君で王妃様がご生母。御年9歳になられる。
「ユリネ殿下とマリア殿下、どちらの話?」
「マリア殿下だよ。ユリネ殿下の縁談が決まりそうだからって、自分も婚約者がほしい!とタダをこねて度々脱走騒ぎを起こすそうだ…なんでも、運命の人は自分で見つける!…とよ」
あきれ顔でため息を着くフランクスは、疲労の色が濃い。どうやら脱走騒ぎの際には駆り出されているな…と察して同情してしまう。
「さすがレスター殿下の妹君だね……何から何までそっくりだ」
あの兄にしてその妹君あり、というところだ。
仮にも異母兄のご婚姻の儀が近いのに、わがままで周りを振り回すところとか。自分で運命の人を見つけるとか。



