あくまでも真摯な姿勢で自分の本心を伝えた。
ローズ様ならば候爵令嬢だし、血筋と教養と容姿は完璧だろう。
アスター王子が国王陛下…になるかはわからないけど。兄のアルベルト殿下は公爵家へ婿入りするし、レスター殿下は3度の婚約破棄で見放されてる。
救国の英雄で従騎士の憧れであり、国民に人気が高いアスター王子が王太子に…さらに国王陛下になるなら、お妃にはそれくらいの身分は必要だよね。
(わたしとは令嬢避けの婚約なんだろうし……)
そう思った瞬間、胸がチクリと痛んだ。
(あ、あれ……?なんだろう??)
以前にも、こんなことがあったような?でも、なぜ?
胸の辺りがおかしい。病気かなにかなのだろうか?
心配になって手のひらを当てて見ると、やっぱりなんともない。
「……それは、アスター殿下に婚約破棄されても構わないということですの?」
「はい!もちろんです。アスター殿下が選ばれたなら、わたしは従うまでですから」
ローズ様の疑うような声音に、思いっきり笑顔でそう返すと…あれ?
「こいつ……わかってない……アスター殿下の苦労がしのばれるわ……」
トムソンが何やら手のひらで顔を覆って呆れた声を出すけど、なんで?
まぁ、ローズ様の手を離したからいいか。



