【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


あくまでも真摯な姿勢で自分の本心を伝えた。

ローズ様ならば候爵令嬢だし、血筋と教養と容姿は完璧だろう。
アスター王子が国王陛下…になるかはわからないけど。兄のアルベルト殿下は公爵家へ婿入りするし、レスター殿下は3度の婚約破棄で見放されてる。
救国の英雄で従騎士の憧れであり、国民に人気が高いアスター王子が王太子に…さらに国王陛下になるなら、お妃にはそれくらいの身分は必要だよね。

(わたしとは令嬢避けの婚約なんだろうし……)

そう思った瞬間、胸がチクリと痛んだ。

(あ、あれ……?なんだろう??)

以前にも、こんなことがあったような?でも、なぜ?
胸の辺りがおかしい。病気かなにかなのだろうか?

心配になって手のひらを当てて見ると、やっぱりなんともない。


「……それは、アスター殿下に婚約破棄されても構わないということですの?」
「はい!もちろんです。アスター殿下が選ばれたなら、わたしは従うまでですから」

ローズ様の疑うような声音に、思いっきり笑顔でそう返すと…あれ?

「こいつ……わかってない……アスター殿下の苦労がしのばれるわ……」

トムソンが何やら手のひらで顔を覆って呆れた声を出すけど、なんで?
まぁ、ローズ様の手を離したからいいか。