「はっ!」
お父様との話し合いの後に従騎士としてひと通りの仕事が終わってから、騎士見習い用の鍛錬場で摸造剣を振るう。
人形相手に上段、中段、下段、脇構えを百回ずつの打ち込み。
木剣より重さが増えたぶん、やっぱり疲れるけど。最初に握った時よりは馴染んできた気がする。
(当分の課題は指の力と持久力の強化と、馬上槍試合のランスの練習だな……)
修練の崖登りでは不本意な結果に終わったし、御成婚記念のトーナメントでは近衛騎士団のメンバーとして出場する。他の騎士団との対決もあるし、個人戦では同じ近衛騎士の従騎士とも戦う。
用意してきたランスを手にしたわたしは、とりあえず突き出してみた。
「……うーん、やっぱり前に体重をかけちゃうなあ……」
気をつけてはいるのだけど、ランスを前に突きだす時にどうしても無意識に体重を掛けてしまう。だから、どうしても突き出しの時にランスの穂先の角度が変わって、ブレて目標に当たらなくなってしまう。
理想としてはまっすぐにスピードを乗せた突撃で、そうすれば自然と自分自身と馬の体重を乗せた攻撃が出来るのだけど。わたしにはまだそれができない。
(上半身の力が足りないのか……背筋と腹筋に腕の力が足りないのかな?)
ひとまず鍛錬場にある木の柱を組み合わせた棒にぶら下がり、懸垂を100回から始めてみた。続いてスクワットと腹筋と背筋を300回ずつ。
汗だくになってシャツが背中に張り付くころ、後ろから声を掛けられた。



