「まぁ、待ってろ。色々なお楽しみがあるからよ」

口いっぱいに頬張ったキャンディを噛み砕いた高祖母様が、ニヤリと不敵に笑う。

「大胆不敵にも、アタシのいる場所を狙ったんだ。何重もの仕掛けを送っといた。絶対防げないやつをな」

ニヒヒヒ…と楽しそうな高祖母様は、テーブルに山盛りにされたお菓子に手を伸ばす。見ただけで胸焼けを起こしそうな量だ。

「……アクアと仔馬は保護してあるが、やはり敵がその存在の隙を突いてきた以上、隠し通すのは無理だと判断した。父上と相談し、国王陛下とオレの連名で存在を発表しておいた」

アスター王子がそう話したことで、夢の中で仔馬が言っていたことが本当だと理解した。そして、彼がアクアと仔馬のことをそれだけ大切に扱ってくださったことが、嬉しい。

わたしはベッドの傍らに立つアスター王子を見上げ、きちんとお礼を言うべきだと口を開いた。

「ありがとうございます、アスター王子。わたしを助けてくださっただけでなく、アクアと仔馬まで救ってくださって…」

あの瘴気のドラゴンの襲撃があった際、わたしは王宮から離れた場所にいたし、居場所を感知するメダリオン付きのペンダントも仔馬の首に掛けていたから、咄嗟に飛び出していたとしてもあんな早く着くとは思えなかった。
あの時はとにかく、アクアと仔馬を助ける事しか頭に無かった。騎士としても主人としてもあたりまえだと思う。

そして、アスター王子が仔馬の存在を自ら公表してくださった。国王陛下と王太子となる王子の連名…それは、ひいては国として仔馬を保護し護ると宣言したも同じ。
仔馬を狙うならば、ゼイレームを敵に回すと言ったも同然なんだ。