そして、アスター王子から今までの経過の説明を受けた。

瘴気のドラゴンの襲撃があった際、ほぼ同時にゼイレームの王宮へ幻獣の襲撃があったこと。その時に利用されたのはやはり地下水脈で、とうに対策をしていたソニア妃や高祖母様の活躍でほとんど防げたし、高祖母様の騎龍セシリアやブラックドラゴンも戦い、幻獣を完全に浄化して還したとのこと。

「やっぱり、もとは“呪い”……呪術だったよ。幻獣達を呪い縛り付ける…相当な呪術師が操ってたみたいだな」

高祖母様がわずかに眉を寄せておっしゃるからには、やはりここはブラックドラゴンを呪い操っていた者が仕掛けていたと見るべきだろう。ブラックドラゴンの解呪は神獣の力が必要なほどだったから、今高祖母様やセシリア等の実力者がいらしてくれてよかった。

「おそらく、仕掛けたのはブラックドラゴンを呪い呪縛した呪術師と同じかと思われます」

高祖母様もおそらくブラックドラゴンの襲撃事件やその顛末については耳にされているはず。わたしがそう告げれば、高祖母様はガリガリと頭をかかれた後に、ニヤッと笑う。なんだかずいぶん楽しそうだ。

「ああ、だろうな。だが、ソイツは今回ヘマをしたな」
「え、そうなんですか?」

なぜかキャンディを口にした高祖母様は、ぐふふと変な笑い声を上げる。

「呪術や魔術ってのは、使えば使うだけ痕跡が残りやすいんだよ。だから、それを辿ればもとの使用者に繋がりやすくなる…むぐむぐ」

高祖母様がキャンディを頬張り過ぎてなにを言ってるのかわからない。すると、それにアスター王子が付け加える。

「……要するに、使用術師に辿り着く“道”があるようなもの。それを利用し、母上とお祖母様が呪術師へ魔術を仕掛けられたんだ」