ふ、と開いた目に光がまばゆい。

「お、目が覚めたな」

慣れた声に釣られてそちらを見れば、相変わらず露出が高い格好をした高祖母様がすぐそばの椅子に座っていた。

「……高祖母様?」
「あー、今は無理に喋らなくていい。気分はどうだ?どっか痛いとか苦しいとかねぇか?」

高祖母様に訊ねられて、自分の身体を隅々までひと通り意識してみる。頭、顔、首、手足、胴体……特に引っかかる要素は無かった。

「大丈夫、です」


わたしの答えを聞いた高祖母様は、ふうと小さく息をつかれた。なんだか安堵のため息に聞こえる。

「そりゃよかった。アンタはひどいやけどを負っていたかんな〜すぐアタシとソニアで治療したけど、まる3日眠り続けていたんだよ」
「……3日も……ですか」

それだけ経っているのが意外で、そして悔しかった。3日……御成約の儀まで日にちが無いのに、まるまる時間を無駄にしてしまったんだ。

思わず歯噛みしていると、ソニア妃と一緒にアスター王子が駆けつけて来られた。とりあえず、謝罪するしかない。


「アスター王子、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。わたしがもっと上手くやれればこんな事にはなりませんでした…?」

謝っている最中なのにアスター王子がいきなりわたしを抱きしめて来たから、反射的に拳を握りしめて突き放そうとした瞬間、彼の口から意外な言葉が漏れた。

「……よかった……おまえが助かって……」