とはいえ、まずは本人(?)たちの意志を確かめねば。わたしはアクアに訊ねてみる。

「アクア、わたしは……あなたの仔馬のことを世間に公表したいと思う」
「ブフッ」

“いいんじゃない?”

わたしが悩みに悩んで出した答えなのに、アクアはサラッといつも通りの調子でそう返してきた。
それどころか……歯をむき出しにして……笑ってる。わたしを励ますというよりも、明らかに小馬鹿にした笑顔だ。

一応、わたしは御主人様なんですがね…!


なんか、カチンとくるけど。アクアらしいって言えばそうだ。

「……仔馬の存在を明らかにすれば、私利私欲にまみれた人間たちがあなたたちに関わろうとすると思う。だけど、わたしが絶対護るからね!」
「ビヒン」

半目になったアクアは、唇を突き出してる……あ、これ。絶対馬鹿にしてるな。やれるもんなら、やってみろって。


「あのねー一応、わたしはあなたの御主人様なんですけど!?」
「ムヒヒヒー!」

あ……アクアは遂にはこちらへ向けて舌まで出したよ。ったく…全然御主人様を敬う気持ちがない。


そんなふうに馬鹿なやり取りはカチンとくるけど……いつもと変わらない。故郷からの慣れたやり取りに、なんだか張り詰めた気持ちが緩むのを感じた。

たぶん、アクアはわたしの緊張を見抜いてわざと挑発的な態度を取ったんだろう。さすがわたしの相棒でありパートナーだ。