「やっぱりアンタの仕業だったか」
「えっ!?」

夢の中のはずなのに、聞き覚えのある声が響いた。
ふわりと浮いた高祖母様はストンと着地すると、手を伸ばして何やら撫でる仕草をする。なにも無かったはずの空間だったけど、ゆっくり徐々に形を成す。それは、ユニコーンとペガサスの間の子である仔馬の姿をしていた。

「高祖母様……なぜ、夢の中に?」
「ん?んなもん簡単さ。幻獣の中にはシャイで、なかなか話してくれねぇやつもいるからな。そういうやつは大抵夢の中なら本音をぶちまけてくれる」

高祖母様の実感が籠もった物言いは、日頃から常に幻獣に接している重みがある。ノプットではあたりまえにドラゴンたちが活躍し、他の幻獣も生きることが認められているからだろう。

「おまえ、頼まれてあの人形を井戸に運んだな?」

高祖母様がさり気なく問えば、“ウン!”と仔馬が嬉しそうな声を上げた。

“それをすれば母さんが自由になってずっとボクのそばにいてくれるって言われたんだ、母さんも喜ぶからって”

やっぱり…産まれて数ヶ月だから仕方ないけど、仔馬は素直でいい含められた言葉をそのまま無邪気に信じてる。


とはいえ、今の問題はわたしが暗殺されかかったことや、仔馬がしてしまったことじゃない。

ユニコーンとペガサスの間の子である仔馬の存在。王宮内でもごく一部しか知らない、国家機密とも言うべき存在へ近づき利用した者がいる。それが、最大の疑念であり問題と言えた。