「……だが、許せねえな!」
高祖母様が握りしめた拳をパシッと自分の手のひらに当てる。相当ご立腹のようだ。
「ノプットのアタシが滞在してる事を知りながら、こんだけ巧みな細工でかわいいひ孫へ毒を盛りやがって!」
「そうなんですか?」
巧みな細工……?まださほど大変な事態だと理解できていないわたしには、高祖母様の怒りが不思議だったけれども。向かい側のテーブルに座ったアスター王子が解説してくださってようやくわかった。
「母上とお祖母様……2人で結界を展開されていらっしゃるが、大抵の悪意は感知できるし邪な意思を持つ人間は入って来れない。だから今、近衛騎士団を始めとする王宮内は安全なはずなんだ。それなのに、その目をかいくぐってミリィに…将来の王妃を毒殺しようとした。しかも、あからさまにわかりやすく。つまり、王の妃である母上とノプットの王女であるお祖母様…2人を挑発してるようなものなんだ」
「……それは」
確かに、ソニア妃も高祖母様もぶっ飛んだ性格だから忘れがちだけど。ゼイレーム国王陛下の妻に、ノプットの王女殿下だ。
そのお二人にケンカを売るということは、ゼイレームとノプット両方にケンカを売るようなもの…ということか。
しかも、高祖母様は外交も担う国際的な賓客で龍騎士だ。その彼女にすら舌を出したのだから。
「……おそらく、井戸が怪しいわね」
「ああ、一度調べてみようぜ。なんか仕掛けられてる気がするぜ」
ソニア妃と高祖母様はズバッと犯行現場(?)を特定し、さっさと調べに行かれた。



