アスター王子にキスをされたと理解した瞬間、一気に顔が熱くなる。絶対、今顔が真っ赤だ。
「あ、アスター王子!不意打ちは卑怯ですよ…!」
それ以上されまい、と威嚇のために睨みつけると、アスター王子がフッと笑う。そして、信じられない言葉を吐いた。
「……かわいいな」
「は?」
かわいい?誰が??
ここには彼とわたししかいない…。
かわいいだなんて無縁のわたしと。
「……アスター王子、頭と視力検査をした方がいいですよ?」
本気で心配になってアスター王子にそう言えば、彼は「憐れむような目はやめろ」と言いつつ、なんだか嬉しそうに見える。
「ミリィはずっと、オレにはかわいいんだ。着飾ったり媚びたりすることだけが可愛さではない。すべてに一生懸命で真摯な姿勢……何にも恥じない生き方。容姿なんかじゃない。オレが惹かれたのはおまえの生き方だ」
「…………」
初めてアスター王子からそんな言葉を聞いて、どう反応していいかわからずに戸惑う。
でも、褒められたのが外見じゃない……と言うことだけは解って、じわじわと嬉しさが胸に広がる。
ぎゅっと強く抱きしめられても、抵抗する気は起きない。
「オレは、ミリィ…ミリュエール.エストアールだからいいんだ。他の誰でもない……おまえが。他にいない…オレの唯一なんだ」
「……はい」
やっと、それだけ返事ができた。
力強い腕のなかで聞いた彼のささやき声……こんなに安心して……そして熱さを感じたのは初めてだ。
もう一度、とだけ囁かれて、躊躇いながらも頷く。
今度のキスは、しあわせの味がした。



