「股間を…ですか?」
ピッツァさんの言ってる意味がわからない。アスター王子の弱点なんだろうか?
わたしが首をひねっていたからか、彼女はにやりと笑う。
「女にはない、男の最大の弱点さ。ソコだけは鍛えようがないからな。危なくなったら積極的に狙っていけよ」
「ソコ…?」
男性にはあって女性には無いもの…?はて。
わたしにはまるでなぞなぞのようだ。
そもそも、わたしの間近にいる男性はお父様だけだった。とはいえ、お父様は王宮務めでなかなか領地にお帰りにならなかったし、領民でも仲がいい同世代の男の子はいても、エストアール家のお嬢様ということでそこまで親しくはしてくれなかった。
後は屋敷に仕える騎士や使用人、その子どもがいたけれど、やはり主君のお嬢様ということで腫れ物を扱うような感じで。いつも歯がゆい思いをしてきたっけ。
だから正直な話、男性のことはよく知らない。
貴族令嬢に必要な異性に対しての教育も、わたしが逃げて代わりに騎士になるための訓練ばかりしてきたからなあ。その点は自業自得なのだけれど。
(わたしもあと2ヶ月後には16になる。成人……大人になる年齢だ。それなのに、無知は恥ずかしい)
知らないならば、知る努力をせねば。アスター王子との未来を自ら望んだならば、そのために頑張るんだ。
だから、わたしはピッツァさんにまっすぐ目を向けてお願いをした。
わたしより女性として遥かにたくさんの知識や経験があるだろう彼女を。
「ピッツァさん、お願いがあります。わたしにはそういった知識がほとんどありません。ですから、良ければ無知なわたしに教えてください」
そういって彼女に深々と頭を下げた。



