【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


「お茶、入れてくれるかしら?」
「はい」

侍女に指示を出したソニア妃はベッドから立ち上がろうとするから、慌てて彼女の背中に手を添える。ゆったりしたナイトドレスの上からでもわかるほど、以前よりふっくらしたお腹が目立つ。

「大丈夫ですか?」
「平気よぉ。でも、ありがとうねミリィちゃん」
「そう、そう。ソニアの鍛え方は半端ないからな。今でも砂浜ダッシュしたり真剣の素振りしたりしてるだろ?」

ソニア妃の所業をピッツァさんはニヤッと笑ってサラッと暴露した。

「え!?訓練してるんですか?」

信じられない思いで詰問すれば、ソニア妃は「バレちゃった〜」とのほほんと笑ってらっしゃいますよ…。

「鍛錬場でちょっと汗を流すくらいよ〜身体が鈍ると気持ち悪いもの。御典医のジョワンさんも軽い運動を勧めてくださってるし」
「毎朝30キロランニングと10キロ遠泳と崖登り10往復が軽い運動かよ…」

ピッツァさんが指折り数えながら挙げた鍛錬メニューは…到底わたしでも無理な内容。ハード過ぎる…。それなのに身重なソニア妃には軽い運動レベル…。

開いた口が塞がらないわたしに手招きしたソニア妃は、ピッツァさんを座らせて自分も椅子に腰掛ける。

「アスターがよく裸でいる理由だけど……たぶんわたしが原因だわ〜」
「え?」
「だってわたし…暑がりだから、寝るときは何も着ないのよぉ」
「ええっ!?」

親子揃ってとんでもない癖があるらしく、呆気にとられましたよ…。