わたしもようやく覚えてきた、羞恥という厄介な乙女心。
できたら好きな人の前では万全な自分でありたい、と思ってしまう、厄介な気持ち。
今の今までアスター王子の前では色んな自分をさらけ出してきたけど…想いを自覚した今は、いろんな事を気にするようになってしまっていた。
汗まみれで臭いも気になるし、髪は乱れてボサボサだろうし、全身が土で汚れてしまっている。
とはいえ、そんな些細なことが気になるのは今が平時の訓練時であってからで、非常事態の際は目の前の事態を最優先するけれどもね。
数秒の睨み合い(?)の末、アスター王子は小さなため息を着いて肩をすくめた。
「……では、すぐに湯を浴びて部屋に戻れ」
「はい!では、失礼します」
ササッと訓練道具を片付けて意気揚々と訓練所を出かけた時、アスター王子に腕を掴まれた。
「その代わり、今夜は遠慮しないからな?」
耳元でやたら嬉しそうな声で、そう囁かれましたが。
「あ、わたしはキャパオーバーになったら、すぐにぶん投げますので気をつけてくださいね」
にっこり、とこちらも特大の笑顔で返して差し上げましたとも。
絶対、良からぬ不埒なことを考えてますからね。アスター王子は。



