【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


そう言えばそうだった、と今さらながら思い出した。

約1か月ほど前に、わたしにとって初めてのそれ(ファーストキス)を体験した翌日。やけに上機嫌なアスター王子に、一日一度はしたい…とリクエストされたんだ。
これくらいではまだ夫婦生活の入り口にもならない。今から慣れなくては、夜の夫婦生活に支障が出る…と。たぶん、アスター王子はわたしと違って知識や経験の差があるんだろう。だから、彼の言うことはもっともなんだろうけど…。


でも、わたしが毎日は無理です!と、なんとか一週間に一度にとどめてもらっていたんだ。
だって……あんなふうに身体を密着させて、しかも顔を近づけるなんて……恥ずかし過ぎるし、ドキドキし過ぎて心臓が爆発しそうだ。

実は、あれ以来なんやかんや理由をつけてはわたしはキスを逃れてきた。
だから、アスター王子もそろそろ不満を露わにし始めていたけど……やっぱり限界かな。

とはいえ、今から…?ちょっとそれは無理だ、と思い彼に提案した。

「アスター王子、今は……訓練後のままですから、せめてあとにしてくださいよ」
「駄目だ。そう言ってまた逃げる気だろう?」

うわー…そりゃあわたしの自業自得ですけどね。やっぱりアスター王子の不信感が半端ない様子。

「……せめて、身体を流させてくださいよ。土まみれ汗まみれのまま近づかれたくないんですが」