【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


「……確かに、その怖れはある。ピッツァの所属するフェニックス騎士団が総力を挙げて追っているのが、ドン・コレッツィだ」

アスター王子が挙げた名前は、以前ピッツァさんからも聞いたマフィアのボスの名前。侯爵邸での件でも深い関わりを持っていた……どころか、1年前のユニコーン密猟事件にはすでにその名前があったらしい。

「まだ、居場所すらわかっていないんですよね?」
「……噂では、強力な魔術師が常にそばにいるらしいからな。ドン・コレッツィ自身も魔術師という噂もある。それゆえに、姿を見たら死ぬ呪いをかけられるとか言われているが」

その話はピッツァさんから聞いた。なるほど、魔術師ならばそういった不可思議な現象が起きるのも納得がいく。

「厄介なのが、ドン・コレッツィがフィアーナと通じているだろう案件だ。最近、国境付近できな臭い話をよく聞く。辺境伯と砦には国境付近の警戒を強化させてはいるが」

アスター王子が懸念している国境侵犯。フィアーナ側の副王……かつて、ゼイレームの旧王家出身であり、裏切りでフィアーナの副王の地位を手に入れたあちらの公爵。ブラックドラゴンに呪いをかけた張本人であり、ろくでもない野心家。
そいつらがドン・コレッツィと結託しているのは、火を見るよりも明らかだろう。

「ピッツァさんも懸念していましたからね。御婚姻の儀で絶対なにかあると。ですから、高祖母様たち竜騎士がノプットから増援に来られたんですよね?」