「ずいぶん上達したな。このまま精進すれば、トーナメントも問題ない」
少々しかめっ面だったアスター王子の口もとがほころんでいる。ずっと厳しい指導してきた上司の言葉だから、重みが違う。
じわじわと嬉しさが胸に広がり、あたたかさに満たされる。
「……ありがとうございます。でも、まだまだという自覚はありますから、あと半月……頑張らないといけませんね」
「相変わらず、妥協が嫌いなようだな」
彼には苦笑いをされてしまったけど、そりゃあそうだ。この程度でいいだとか、自分自身で決めてしまえば楽かもしれないけど、そうなれば低いレベルでも満足してしまう。
「妥協はしません。常に自分自身を磨き高めることは、騎士として当然ではありませんか。自分で限界を決めてしまえば、そこで止まってしまう。人間、楽な方に流されやすい生き物なんですから」
騎士を目指した瞬間からそれはわたしにとって当たり前であり、エストアール家の人間として当然だ。
「御婚姻の儀には、諸外国より重要な地位の賓客がお越しになられる……その隙を狙った犯罪も起きるでしょう。いざという時には見習いだから戦えないだとか、そんな無様なことがないように、騎士として精一杯できることをしたいのです」



