たぶん、照れくさかったんだろう。
アスター王子は急に鬼教官モードになり、ランスの扱いの猛特訓を受けた。
アスター王子の愛馬ファルコを借用して、その馬上で実際にランスを振るう。
(……今だ!)
回転する人形相手に突撃し、スピードに乗せてランスを繰り出す。
わたしが今まで最も不得手だった部分だ。
(体重でなく、スピードを乗せて…突き出す!)
「はっ!」
ランスの穂先から、人形に当たった確かな手応えを感じた。
「よし!それでいい」
初めて、アスター王子からそんな言葉を貰えた。
でも、自分自身ではまだまだだ。
「もう一度、やります!」
「そうか」
ファルコンには申し訳ないけど、この感じを忘れたくなくて、もう少し練習しておきたい。
アスター王子もわたしの性格を熟知しているからか、何も言わなかった。ただ、いつもより厳しいダメ出しと指導がはいったけど、それくらいで折れたりしない。
「……よし、やめ!」
アスター王子から静止が入ったのは、何十分後だろう。無我夢中になりすぎて、わたしもファルコも汗だくだった。
「……すみません、夢中になりすぎました。ファルコを疲れさせてしまいましたが…」
「これくらいならば、ファルコは一晩眠れば回復する。心配するな」
さすがに英雄の愛馬。体力も回復力もケタ違いみたいだ。



