アスター王子は長年最前線で騎士として戦ってきた。経験してきた戦闘数など、わたしとは比較にならないはずだ。
わたしの余計な感情を甘い、とばっさり切り捨てるのは当然だろう。
(やはり、わたしは騎士として感情的になりすぎるのかもしれない)
もっと冷静沈着かつ合理的な判断をできるようにならなければ……と自分自身に言い聞かせると、アスター王子はもう一度咳ばらいをして付け足した。
「だがな……そこまでアクアの事を思い遣るミリィの気持ちも理解できる」
「え?」
意外な言葉に顔を上げてアスター王子を見れば、彼はなぜか顔をそむけながら続けた。
「おまえほど、騎馬を大切にしている騎士や従騎士は居ない。アクアも同じだろう。おまえだからアクアはついてくるし、騎馬であろうとする」
「アスター王子…」
「ごほん!だ、だからだな……」
なぜかゴホゴホ咳ばらいを連発しながら、アスター王子がこう言ってくださった。
「オレは、良いと思う。そこがミリィらしいし無理に切り捨て無くていい」
さっきと言うことが正反対ではあるけれども、おそらく先ほどの発言は騎士として上司としてのもので、今の言葉は個人的な想い。
顔をほんの少しだけ紅くしながらわたしへ送ってくださった言葉。
照れたアスター王子が可愛くて、ついつい頬が緩んでしまう。
「……はい。ありがとうございます、アスター王子」
彼にこうして肯定されることが、何より嬉しいかもしれない。



