【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


「さて、アスター王子。ランスの扱いを見ていただけますよね?」
「……わかった」

結果的に同僚の従騎士の訓練を邪魔した罰として、笑顔でアスター王子に言えば、彼は素直に応じてくださった。

「アクアには乗らないのか?」
「今日は休ませますので」
「アクアが…?体調でも悪いのか」

やっぱり馬上槍試合の訓練ならば、実際騎乗しながらの方が良いに決まってる。普段のアクアならばどこまでも練習に付き合えるけど…。

「うーん…別に、大丈夫です。ただ、出産してそんなに経って無いので……」

わたしがそんな下手な言い訳をしていると、アスター王子がじーっとこちらを見てくる。うん、きっとこれはわかりきった顔ですね。

「はい、そうですね。アクアは今、馬房を抜け出しているでしょう。湖にいる子馬に会いにいくために」
「やっぱりそうか…」

アスター王子には案の定と言わんばかりにため息をつかれてしまいましたが……。

「すみません……本当ならば、出ていかないように管理するのが適切とは思いますが……人間の勝手な都合で、生まれたばかりの赤ちゃんと引き離されたアクアが可哀想でならないんです」

以前、アクアにはそのことを謝罪したことがある。彼女は気にするな、とでも言いたげな顔をしてくれたけど……子馬と会うと、嬉しそうに嘶く。そして、愛情あふれる優しい顔になる。本当に、愛しそうに子馬の世話を焼いて……。


乳離れにはまだ早い小さな子馬。いくらユニコーンとペガサスのあいの子だとしても、アクアが離れる時は悲しそうに鳴く。

人間だと、まだ3歳児にもならない子どもだ。寂しくないはずがない。