はあ、とアスター王子は特大のため息をつく。
呆れたような顔だけど、その口もとには微かに笑みが浮かんでいた。
「……ありがとうな、ミリィ。やはりおまえでよかった」
小さく呟いた言葉は、おそらく自然と出た本音。わたしだから、いい。そう言ってくださったんだ。嬉しさがじわりと広がり、わたしの顔もほころぶ。
「いえ、こんなわたしで良ければ…まだまだ足りないところはあるでしょうけど」
わたしがそう返すと、アスター王子はなぜか呆れた顔をする。
「おまえが努力家なのはわかるが…適度に力を抜くことを覚える必要があるな」
「力を抜く……ですか?」
これまた指摘されたことがない言葉だ。休めとは言われてきたけれども、力を抜く……?
それについては、アスター王子がすぐに付け足してくださった。
「いつも全力でがむしゃらに進むと、疲れてしまうだろう?例えば長距離走る時、短い距離を走る時を考えればわかりやすい。短距離ならば全力で走ってもいいが、長距離ではペース配分を考えるだろう?それと同じことだ」
「なるほど」
つまるところ、わたしは常にがむしゃらだからそれでは保たない、ということだろう。
「おそらく、ミリィはこれでも同じように突っ走るつもりだろう?」
「これ?」
アスター王子の言葉の意味がわからなくて首をひねっていると、立ち上がった彼がわたしに近づき……ふわりと身体を抱きしめてきた。
「恋愛も、だ」
耳もとで、彼が囁いた。



