「そうか…そうだな」
アスター王子は心なしかほっとした顔をしていた。
なんとなく解った気がする。
おそらく、今の今まで誰にも打ち明けられなかったんだろう。
エストアール家の人間は初恋が遅いのが伝統だから、お父様もわたしも恋愛経験なくとも焦らなかったし、周りも特に何も言わなかった。
でも、アスター王子の周りはそうじゃない。
惚れた腫れたの恋愛沙汰は常にあったはず。
そんな中で20歳まで恋愛経験無し…は、さすがに王子として、騎士として言えるはずもない。
ピッツァさん辺りには相談できたかもだけど、からかわれるのは火を見るより明らかだからなあ。
今までわたしに対する態度が煮えきらなかったのも、たぶん恋愛初心者であるから。
彼は、きっと自信が無いんだ。
そんな彼にわたしはもう一度言葉を重ねる。
「アスター王子、わたしはあなたが何をして失敗したって笑いませんよ…って言い切れませんが」
「……笑う気満々じゃないか」
「え、そりゃあそうですよ。でも、真剣な時は茶化したりしませんから、ご安心ください」
「目が笑ってるじゃないか…全然安心できないぞ…」
あれ、おかしいな?真面目な顔をしたつもりなんだけどな。
「大丈夫です!アスター王子が何をやらかしてもちゃんと一緒に謝りに行くくらいはしますから」
「……なんで失敗前提なんだ」



