ソニア妃から聴いた聴き慣れない言葉に、思わずオウム返ししてしまう。
「魔力酔い…ですか」
「そうよ〜アスターが熱を出したのもそれが原因よ。もともと人間に魔力という力は適応するのが難しいの。生きる上で必ず必要なものでは無いもの。
ただ、最初からその器を持って生まれてしまう…という事はあるもの。わたしの家系がそうねぇ〜もともと魔力がある血筋だったけど、ノプットで稀代の魔力を持って生まれたアリスお祖母様の代から、より強い魔力を宿しているわ。
だから、ミリィちゃん。あなたがアスターの子を産むならば、その子は必ず膨大な魔力を有しているはず。今から魔力酔いを経験して、身体を馴らすのはいいかもしれないわね。子どもはお腹で10ヶ月近く育つもの」
さすがにゼイレームいちの魔術師であるソニア妃、わたしがまったく知らない知識を話してくだった。
「そう…でしたか」
発熱自体は大したことはなくて、あくまで微熱程度。だるさはあるけれども、我慢できないことはない。
でも、アスター王子が魔力酔いを起こしたとき、こんなもので済まなかった。重病人かと思うくらい顔色が悪くて苦しんでた。
(アスター王子が苦しんでた理由がわかってよかった…今度同じことがあったらしっかりフォローできるようにしよう)
これは、貴重かつ大切な経験だ。普通の騎士ならばそうそう魔力は有しない。ブラックドラゴンのおかげで色々と体験できるのはありがたい。
それにしても…ソニア妃にはすごいことを言われた気がする。



