「ミリィちゃん〜熱が出たって大丈夫?ほら、ルイスリンプのサーモンサンドイッチ買ってきたわよ〜」
バゲットサンドを食べようとした時、ソニア妃までわざわざサンドイッチ持参でお見舞いに来てくださった。
(外見は)ふんわりした雰囲気にふさわしく、淡いブルーカラーのドレスを身に着けている。
「おお、ソニア。ミリィの見舞いに来たんだな」
「そりゃあ、かわいいかわいい将来の義理娘(お嫁さん)だもの。心配しない方がおかしいでしょ」
ピッツァさんに可愛らしくぷくっと頬を膨らませ、抗議する40歳……。まぁ、いいんですけどね。
仮にも王の妃が足を運んでくだったんだ。ひとまず、お礼は言っておいた。
「わざわざおみ足を運んでいただき、ありがとうございます」
「いいのよ。ミリィちゃんのためだもの〜あら?」
ソニア妃がなぜかわたしの腰の辺りをジッと見て眉を寄せた。
「ミリィちゃん、ブラックドラゴンに与えられた短剣を常に身に着けているのね?」
「あ、はい。騎士たる者、いつなにがあるかわかりませんから、戦えるよう武器は手放すことはしません」
ブラックドラゴンよりいただけた短剣は、ただの武器じゃない。おそらく彼の魔力も宿ってる。だから、侯爵邸での戦闘で様々不可思議な現象が起きたんだろう。
「……その短剣、魔力がすごく強いわ。一介の魔術師レベルね。だから、元々魔力がないミリィちゃんには魔力酔いを引き起こしてしまったみたいね」
ソニア妃から指摘された意外な発熱の原因には、驚くしかなかった。



