【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


やっぱり、この人でよかった。

アスター王子の大きな手のひらに包まれただけなのに、なにがあっても大丈夫と思えるくらい安心してしまう。

わたしの手も、普通の貴族令嬢ではありえない傷と硬さだ。剣を振ってできた豆は何度も潰れ、皮を厚くしてきた。きっとゴツくて普通の男性ならば敬遠するだろう。 
でも、彼はわたしを認めてくださる。

それも、わたしの努力の証だ……と。

彼は、なにがあってもわたしを否定しない。

そんな絶大な信頼感が、わたしの中で揺るぎないものとなっていた。

ドキドキは……わたしは未だにわからない。

マリア王女に聴いたような恋バナとは、程遠い気がする。

でも、と思う。

(わたしは……たぶん、ううん……きっとアスター王子が好きなんだ……)


いつからか、なんてわからない。
初恋もまだだったわたしには、感情の区切り方がわからない。

でも、きっと。

わたしの中にあるアスター王子への想いにあえて名前をつけるとしたら、それは“初恋”というもの。

自覚したところで、ああ、そうか……と納得もできた。

今まで、他の女性がアスター王子と絡んだ時に感じていたモヤモヤした気持ちは、嫉妬……焼きもちだったんだ。

わたしの中にも、自己本位な独占欲があったらしい。