やっぱり、この人でよかった。
アスター王子の大きな手のひらに包まれただけなのに、なにがあっても大丈夫と思えるくらい安心してしまう。
わたしの手も、普通の貴族令嬢ではありえない傷と硬さだ。剣を振ってできた豆は何度も潰れ、皮を厚くしてきた。きっとゴツくて普通の男性ならば敬遠するだろう。
でも、彼はわたしを認めてくださる。
それも、わたしの努力の証だ……と。
彼は、なにがあってもわたしを否定しない。
そんな絶大な信頼感が、わたしの中で揺るぎないものとなっていた。
ドキドキは……わたしは未だにわからない。
マリア王女に聴いたような恋バナとは、程遠い気がする。
でも、と思う。
(わたしは……たぶん、ううん……きっとアスター王子が好きなんだ……)
いつからか、なんてわからない。
初恋もまだだったわたしには、感情の区切り方がわからない。
でも、きっと。
わたしの中にあるアスター王子への想いにあえて名前をつけるとしたら、それは“初恋”というもの。
自覚したところで、ああ、そうか……と納得もできた。
今まで、他の女性がアスター王子と絡んだ時に感じていたモヤモヤした気持ちは、嫉妬……焼きもちだったんだ。
わたしの中にも、自己本位な独占欲があったらしい。



