「とにかく、食欲はなくてもなにか腹に入れておけ」
アスター王子が食堂からいろんな食べ物を持ってきていた。スープ、パン、チーズ、パン粥、プディング、果物、スコーン、ゆで卵、魚の香草焼きにチキン…ありとあらゆるメニューを手当たり次第に手にした感じだ。
「ありがとうございます…ですが、さすがにこんなに食べ切れませんよ…」
サイドテーブルに乗り切れない料理に思わずそう言ってしまうと、アスター王子はバツが悪そうな顔をする。
「残りはオレが平らげるから、好きなものだけ好きな量を食え」
「……はい」
ため息をつきながらもう一度料理を眺めると、黒っぽいパンにサーモンを挟んだサンドイッチ…ルイスリンプのサーモンサンドイッチが目についた。
ノプットでは当たり前に食べられるライ麦パンで、強い酸味とライ麦のプチプチした食感が楽しい。ずっしりした食べごたえがあるから、これだけで結構お腹が膨れる。
お祖母様が、お会いするたびに作ってくださった思い出のサンドイッチ。
そういえば、去年わたしが訓練中に落馬で怪我をした時…アスター王子がピクニックに誘ってくださって…その時にも、このサンドイッチがあったな…と懐かしい気持ちになった。



