【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


わたしが思うままにそう告げれば、アスター王子の顔がほんのりと色づく。
本当に不器用な人だなあ…なんて、少しだけ笑いたくなる。

「ほ、ほら!着換えとタオルとお湯だ。今のうちに身体を拭いてさっぱりしておけ」

アスター王子はベッドのサイドテーブルに一式を置くと、そのまま2つのベッドの間に作ったカーテンの仕切りを引いて隠してくれる。
去年わたしがここで身体を拭いていたとき、たまたまだけどアスター王子が戻って裸体を見られる事件が発生。彼にはその場でお仕置きをしておいたけれども、その後このカーテンの仕切りを作ってくださったんだ。

着換えやこうやって身体を拭く時や、たまに腹立った時に怒りを表す手段としても利用してる。

「ありがとうございます。では、遠慮なく」

少し熱が上がってきたのか結構汗をかいてきてるから、身体を拭けるのは嬉しい。ダルマティカを脱ぎ、桶にの入ったお湯にタオルを浸し固く絞る。

汗をかいた肌を拭うと、さっぱりして気分がよくなる。やっぱりベタベタしたままだと寝ていて気持ち悪い。

「ミリィ、湯は足りてるか?追加でもらってくるか?」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます」

本当は髪も洗いたいけど、今はそれどころじゃない。とにかく身体だけでもきれいにできて気分がよくなった気がする。

「身体を拭いたあとは少し冷えるからな。毛布もしっかり被っておけ」

わたしが身体を拭いた後始末をしようとしたのに、アスター王子にそんなことを言われてベッドに押し込められた。

……いや、身体を拭いたタオルは恥ずかしいから自分自身で洗いたいのですが。