案の定目の前がよく見えないようで、開いたドアにぶつかりそうになってる。
「アスター王子、大丈夫なんですか?」
手助けしようと思わずベッドから降りかけると、彼から「いいから寝てろ」と注意をされてしまった。
ハラハラしながら見守っていると、なんとかテーブルにすべて置かれてホッとしたけれども……乗せられた大量の物資には驚くしかない。
サンドイッチにスープにパンにチーズやら果物…タオルに着換えらしいダルマティカ。肌着にお湯の入った桶に、新しいシーツに、数冊の本と……。
積み上がった物資のうち、見える部分だけ見ればそれだけ確認できた。
「危ないですから、台車を使えばよかったではないですか」
ほんの少しだけ呆れてそう口にすれば、バツが悪そうな顔をするアスター王子。
「なにが必要か色々考えて、かき集めたらこうなったんだ」
「……でしょうね」
わたしのために一生懸命なアスター王子が可愛く思えて、思わず口もとがほころんでしまう。
近衛騎士団にも、専属の侍女や看護師はいる。彼女たちに任せればいいのに、彼は自分ひとりでわたしの世話をしようと頑張ったんだ。
「な、なにがおかしい?」
「……いえ、あなたがわたしのために頑張ってくださったことが嬉しいんです」
ちょっぴり焦り気味のアスター王子に、微笑んでみせた。
「ありがとうございます、アスター王子。やっぱりあなただからいいんです…そう思います」



