ふっ、とアスター王子の口もとがほころぶ。
「やはり、ミリィだな。決して他人を責めたりしない。だが、今は責任がどうこうよりも、体を休めることが一番大切な事だ。発熱は体が休めと言っている合図。やはり無理がたたっているんだろう。今日1日くらいはなんとかなるから、なにも心配せず寝てろ」
そう言いながらアスター王子は押し込めたベッドの布団をかぶせて、そのまま頭をポンポンと軽く叩いてくださる。お父様のような仕草に、なぜか安心感を感じた。
「汗をかいて気持ち悪いだろう。身体を拭くものとなにか消化のいい飯も持ってくるからな」
「え、い、いいですよ!そこまでお手を煩わすわけには」
とんでもない発言に焦って反論すれば、彼はまたわたしの頭に手を載せて微笑む。
「いい。上司として当然だし、それに何よりオレがミリィの世話をしたいんだ」
「……」
心底嬉しそうに言われてしまっては、それ以上反対なんてできない。
それに、わたしを見つめるアスター王子の優しくて暖かな眼差しが…包み込まれるような大きな安心をくれる。
体調不良だと、不思議とほんの少しだけ気弱になりかけるけど…アスター王子がいるから大丈夫だ、と思えてしまう。そんな自分に気づいてしまった。
(わたし……いつの間にかこんなにもアスター王子を頼もしく思うようになったんだろう)
彼が出ていったドアを見つめながら、少し困惑していた。



