【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


「だから疲労が溜まってるのか……」

アスター王子はそう呟きながらも、呆れ顔でなく案じる顔をしてくれる。

「疲れなんて、こんな時に感じていられません。大切な時なんですから、努力をするのは当たり前です…むしろ、自己管理がなっていなくて申し訳ないくらいで…これまで以上に頑張らねば!」

わたしが握りこぶしを作り力説すれば、アスター王子はなぜか額に手を当ててため息をつく。そして、しばらくしてからわたしに訊ねてきた。

「少し、額と首に触っていいか?」
「あ、はい…どうぞ?」

はて?なんのために?と首を捻りながらおとなしくアスター王子の言われるままにしておく。

ベッドの前で寝間着のダルマティカ姿のままでいると、シャツ姿のアスター王子が近づいて手が伸びてくる。改めて見上げると、窓から差し込む朝陽でプラチナブロンドが柔らかく輝いている。
黙って見れば他を見ない美形なんだよね…。
なんて冷静に考えていたのは、彼の指先が肌に触れるまで。

ひんやりした感触が額に触れたからか、ピクッと身体が揺れてしまう。

「……やはり、熱いな。熱があるし、喉が腫れている」

よく整った顔が心配そうに変わり、わたしを気遣う言葉を紡ぐ。

「ミリィ、今日は1日寝てろ」
「え、大丈夫ですって!このくらいの熱はなんともない…」

わたしがそう主張しているのに、アスター王子はいきなりわたしの肩を掴むと、あっという間にベッドに押し倒された…むむ、咄嗟に反撃できなくて悔しい。

「いいから、寝てろ!おまえはまだ15歳なんだ…無理をしすぎるな!」