「だから疲労が溜まってるのか……」
アスター王子はそう呟きながらも、呆れ顔でなく案じる顔をしてくれる。
「疲れなんて、こんな時に感じていられません。大切な時なんですから、努力をするのは当たり前です…むしろ、自己管理がなっていなくて申し訳ないくらいで…これまで以上に頑張らねば!」
わたしが握りこぶしを作り力説すれば、アスター王子はなぜか額に手を当ててため息をつく。そして、しばらくしてからわたしに訊ねてきた。
「少し、額と首に触っていいか?」
「あ、はい…どうぞ?」
はて?なんのために?と首を捻りながらおとなしくアスター王子の言われるままにしておく。
ベッドの前で寝間着のダルマティカ姿のままでいると、シャツ姿のアスター王子が近づいて手が伸びてくる。改めて見上げると、窓から差し込む朝陽でプラチナブロンドが柔らかく輝いている。
黙って見れば他を見ない美形なんだよね…。
なんて冷静に考えていたのは、彼の指先が肌に触れるまで。
ひんやりした感触が額に触れたからか、ピクッと身体が揺れてしまう。
「……やはり、熱いな。熱があるし、喉が腫れている」
よく整った顔が心配そうに変わり、わたしを気遣う言葉を紡ぐ。
「ミリィ、今日は1日寝てろ」
「え、大丈夫ですって!このくらいの熱はなんともない…」
わたしがそう主張しているのに、アスター王子はいきなりわたしの肩を掴むと、あっという間にベッドに押し倒された…むむ、咄嗟に反撃できなくて悔しい。
「いいから、寝てろ!おまえはまだ15歳なんだ…無理をしすぎるな!」



