それに加えて、御婚姻の儀に合わせて行われる馬上槍試合の特訓も増えてる。
従騎士として仲間とともに戦う待望の大会だ。
騎士となるならば、ここでいい成績を収めたいんだ。
代々騎士を輩出してきたエストアール家の娘として、ご先祖様に恥じない結果を残したい。そんな想いから、苦手なランスの扱いを特に練習してきた。
通常の従騎士としての仕事や訓練、勉強の他にもそんな時間が増えてる。将来のためだから、とすべて気合いを入れてこなしてきた。
「ですが、疲れは感じていませんよ。むしろ毎日が充実しています。目標があればそれに向かって努力するのは当たり前ですから」
むん!と腕を持ち上げて力こぶを作って見せれば、アスター王子は苦笑いして「筋肉ついたな」とおっしゃる。
「そりゃあ、力仕事なんて王宮内や厩舎ではいくらでもありますからね」
「ミリィ…まさか、まだ厩舎の仕事を手伝ってるのか?」
「あ、はい。ここに来てから変わらずずっとですけど?」
アスター王子に目を見開かれてしまいましたが…なにをそんなに驚く事があるんだろう?
騎士になるならば、普段から相棒の馬を世話をしてコミュニケーションを取るのは当たり前だし、性質や状態を把握するのは必須だと思うのだけれど。