(うーん……なんだか熱い……かな?)
その日の朝、目が覚めたら身体が少し熱くてだるい気がした。
アスター王子がまた裸で抱きしめてきたのかと思ったけれども、一応服を着ていて安心……のはずがない。
「ちょ、アスター王子!なんでまたぼくを抱きしめているんですか!変態ー!!」
またいつも通りに彼を窓からぶん投げると、早朝の霧が濃い近衛騎士団の敷地内で女官と騎士の驚く声が聴こえた。
「ミリィ、いつもより体温が高くないか?」
髪に葉っぱを付け全身泥まみれのアスター王子が、部屋に戻った開口一番にそうおっしゃいますが…。
「……確かに、少し熱っぽい気がしますしだるさもありますね」
ここで意地を張っても仕方ないから、素直に認めておいた。アスター王子は案外鋭いから、隠しておいてもいずれバレてしまうだろう。
「ここのところ忙しさが増していたからな……疲れが溜まってるのではないか?」
「うーん…確かに多忙ではありましたけど」
アルベルト殿下とソフィア公爵令嬢の御婚姻の儀まであと1ヶ月を切った。それと同時に、わたしにもお妃教育が始まっている…とは言っても、普通は先生がついて講義を受けるところ、代わりにソニア妃の離宮に通ってる。
今、滞在中の高祖母様がノプットの王女殿下ということもあり、ソニア妃とともに教師役となって様々な知識や礼儀作法を教わってるんだ。