セシリアからの“声”には、驚いた。
それが表情に出てしまったんだろう。高祖母様はニヤニヤ笑っていらした。
「わかりやすく驚いたな」
「はい。ブラックドラゴンにも以前同じことを言われましたので」
「だとさ、セシリア。残念だったな?先に良い事言われちまっててさ」
高祖母様は相棒のドラゴンにそうおっしゃるけど、セシリアは当たり前にこう返した。
《……ウケ狙いで発言などせぬが》
「ちぇ、少しは悔しがれよ。若造にしてやられたー!とかさ」
《アリスティア、そなたを気の毒に思うぞ…》
「お、いいねえ、その冷たい視線。いやー、ドラゴンでもやっぱアンタは人間味あるわー」
ガハハハハ!と豪快に笑った高祖母様はセシリアの体をバンバン叩く。彼女が迷惑そうなのにかわりはないけれども…どこか嬉しそうにも見える。
「……ま、アタシが言いたいのはさ、ミリィ。アンタは竜騎士の資格があるってこった。古代竜であるセシリアが認めてんだし、何よりドラゴンから契約の証のマジックアイテムを授かった。竜騎士のことは知らずとも、立派なもんだ」
「……そう、でしょうか?わたしはただの騎士見習いなだけですが…」
竜騎士を目指したことも無ければ、意識したこともない。偶然結果的にそうなっただけで。
「ガハハハハ!いいね、その謙遜。だが、まぁ…アタシらが協力してノプットからの竜騎士派遣は決まってっからな〜しばらく滞在するんでシクヨロ!」
高祖母様の呵々大笑でさらなる不安が増したのは、わたしの気のせいでしょうか…。
(アスター王子…頭がはげなきゃいいけど)



