「だが、まぁ……2000年生きたセシリアの言うことだ。間違いはないだろうぜ」
「2000年!?」
高祖母様の言葉には、流石に驚いた。ドラゴンが長寿なことは聴いた事があるけれども……2000年も生きるなんて。
「ドラゴンはそんなに長生きなのですか?わたしがこの短剣を授かったブラックドラゴンの母は千年龍だったそうですが」
《ラピスは私より若かった。龍は永ければ万年生きる。彼女は今少しで古代竜(エニシェントドラゴン)となったのだが…彼女の悲惨な最期にはこころを痛めたよ》
セシリアの“声”は、仲間への哀しみが滲んでいて……改めて、人間がドラゴンへどれだけひどい仕打ちをしてきたのか、苦い悔恨の情が湧いてくる。
「……本当に、申し訳ありません。ラピスへだけでなく、その子であるブラックドラゴンにさえ、人間は呪いをかけ操った。彼の意思に関係なく暴竜と化させ、ゼイレームを襲わせた。…他にもたくさんのドラゴンたちがゼイレームでは討伐されています。すべて、“危険だ”という人間だけの都合で……いくら謝っても、足りないのは承知しています」
今までゼイレームで、ドラゴンたちが受けた仕打ちはあまりにひどいものだった。ドラゴンであるだけで尊ばれ敬われるノプットと違い、ゼイレームでは討伐対象でしかない。
わたしが騎士見習いの受ける講義で、ドラゴンについて意見を述べた時も仲間たちは“ドラゴンはやっつけるべき”と言っていた。年少者の従騎士からそんな言葉が出るのだから、大人である騎士たちの意識も似たようなものだろう。



