【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


夜遅く、鍛錬場には無数の明かりが灯る。

金属製の鎖を編み込んで作られた鎧のチェインメイルを着て、馬に騎乗しランス(槍)を的に当てる訓練。
馬上槍試合には不可欠な鍛錬だけど、未だにわたしは不得手だ。

実際の鎧と兜を着た木製の人形にランスを当てるのだけど、突いた人形は回転して重りがついた紐がこちらを襲ってくる。だから、タイミングよく駆け抜けないと重りが体を直撃してしまう。

「はあっ!」

ランスの大鍔の下にある持ち手をしっかり持ち、ここだ!と思う瞬間にランスをまっすぐにして突きだす。
けれど、前にバランスを崩しそうになって慌てて持ち直した。

「体重をかけようとするな!しっかり持っていればランスには自分と馬の体重を乗せた突撃ができる。焦るな!」
「はい!」

アスター王子のアドバイスを胸に刻み込み、馬をターンさせてゆっくりと歩度(ほど)を変え、速歩(はやあし)から駈歩(かけあし)へ。

とはいえ、どうも扱いづらい。