スラリとショートソード…短剣を鞘から抜けば、見事な拵えの黒い刀身が現れた。
「確かに、これはブラックドラゴンより授かりました。彼が自ら角を折り、『ならば、私はそなたのいるこの国を護ろう。古よりの、龍の血の盟約として。そなたが相応しき龍騎士とならんことを』…と」
「……ふーむ」
あたしの短剣を受け取った高祖母様は、まじまじとそれを眺めてからぶんぶん振り回した。
「……間違いないね。これは、龍騎士として契約したマジックアイテムだな」
「えっ!?」
「見てみろ、ここにある紋様」
高祖母様が指さした先にあったのは、目をよく凝らさないと見つけられないほどの小さな紋様。刀身の下部に刻まれたそれは、たぶん文字なんだろうけど、わたしには読めない。
「これは…?なにかの文字にも見えますが」
「そりゃあそうだろうな。これは、古代ルーン語…原初の文字だ。今や魔術師くらいしか解読できねえ古語だ。ここには、アンタとブラックドラゴンの真名と、血の盟約について書かれてる。つまるところ、ブラックドラゴンは死ぬまでアンタに従う…ってこったな」
「え…」
まさか、ブラックドラゴンがそこまで決意していたなんて、思いもよらなかった。ブラックドラゴンがフィアーナの呪術で暴走した際、たまたま幸運が重なってわたしが止められたけど…わたし自身はそこまで誓約するほどのことは出来なかったのに。



