「……とにかく、母上と曾祖母様は余計なことはなさらないでください」
アスター王子が真面目な顔つきで2人に言うけれども…常識外れ過ぎる方々に効果があるやら?
ここは一つ、わたしがアスター王子のフォローをしておこう。でないと彼が心労で倒れかねない。
という事で、高祖母様に話しかけてみた。
「あの、高祖母様」
「おう、なんだ?ミリィ」
「ノプットからはもしかして騎竜のセシリアに騎乗し飛んで来られたんですか?」
「そりゃモチのロンさ!」
どうやら高祖母様には嬉しい話題のようで、喜々として話してくださる。
「遠くに行くときは大抵セシリアに乗るんだ。船だの馬車だのまだるっこしい。ミリィも乗ってみなよ、めっちゃ気持ちいいぜ〜」
「それは羨ましいですが、わたしには騎竜がいませんから」
わたしがそう話せば、高祖母様はん?と首をひねる。
ズイッとわたしの近くに来ると、武器を携帯する腰のベルトを指さしてきた。
「騎竜がいない?そこにある短剣、ドラゴンと契約した証のマジックアイテムじゃないのかい?」
「え、契約の?」
高祖母様の指摘には、戸惑うしかない。
確かにブラックドラゴンを助けた時、彼は自らの角を折って短剣に変え渡してくれたけど。
「別に、契約とか彼にはなにも言われていませんが…」
「けどな。ドラゴンが自ら角や牙を折るということは、絶対主人を攻撃しない意思表示なんだ。つまり、一生ともに生きる誓いをしたも同然。そのドラゴンはなにがあってもアンタに従うだろうよ」



