ゴホン、と咳ばらいをしたのがアスター王子で。たぶん、このままでは埒が明かないと思ったんだろう。
それについては完全に同意だ。
「曾祖母様…アリスティア殿下」
「おう、なんだ?ひ孫よ!」
アスター王子の呼びかけに、高祖母様はにこやかに応じる。まだピッツァさんを抱きかかえてるけど。
「母上からお聞きしましたが、ゼイレームへお越しになった目的はドラゴンでの戦力供与ですか?」
アスター王子の発言には驚いた。
わたしが聞かされていなかった…というのは少しだけ腹立たしいけど、フィアーナからの脅威が予想以上に緊迫化しているのかもしれない、ということに。
先日あった侯爵邸での事件では、ドン・コレッツイの尻尾を掴むことは出来なかった。
フィアーナの手引きをしているのは十中八九ドン・コレッツイで間違いない。
ひいては、やつを捕まえればフィアーナからの内部工作がほとんどなくなり、あとは政治面軍事面での対処がしやすくなる。
アスター王子からの質問に、高祖母様はようやくピッツァさんを離してガリガリ頭をかいた。
「まー、ぶっちゃけパフォーマンスだわな。ノプットが協力しますってポーズ。ま、もちろんこのアタシが来たからには、大船に乗った気でいなよ!わっはっは!」
バンバン、と高祖母様に背中を叩かれたアスター王子は、「背骨が折れる」と呟いてた。