夜、近衛騎士団副団長であるお父様の執務室に呼ばれた。
「え、わたしも龍騎士様を迎えに…?」
「そうだ。龍騎士たっての希望らしい」
お父様から意外過ぎる話をされて、はてと首をひねるしかない。正式な騎士ならばいざ知らず、なぜ騎士見習いであるわたしが指名されるんだろう?
「龍騎士様はわたしをご存知なのですか?」
「……まあな」
お父様にしては珍しく歯切れが悪い……というか、苦虫を噛み潰したような顔をされている。
その龍騎士をご存知だから…?
「では、お父様は龍騎士様にお会いしたことが…?」
「ノプットでな」
お父様は手で顔を覆われ、ため息混じりの話しをされた。
「ミリィ、おまえの母であるマリアンヌのさらに母であるアリシアどのの義理の祖母だ」
「……えーっと」
お母様の母……アリシアお祖母様のさらにお祖母様というと……。
曾祖母どころか、高祖母ということ??
「え……お父様、その龍騎士様はおいくつなのですか?」
女性の年齢を訊くのは失礼極まりないかもしれないけど、お母様は30半ば。アリシアお祖母様も50過ぎてらっしゃる。そのさらに祖母となれば、一体いくつになるのか……。
でも、お父様は頭を横に振ってこうおっしゃった。
「いや、それは誰も知らないそうだ。年齢を公表されてないからな。ただ、アリスどのはもともとノプットの王太子であったもと王族でらっしゃる」



