久しぶりに昼食を騎士団の食堂でアスター王子と一緒に取れた……というか。
「おー相変わらずうめぇな、近衛騎士団のメシは。フェニックス騎士団のはそりゃあひどいもんだぜ」
なぜか、ピッツァさんまで一緒だ。
まあ、わたしは彼女を姉みたいに思ってるから、大歓迎なんだけど。
「ピッツァさん、例の事件のことでまた来たんですか?」
「ん、いや。それはもう終わった。今回は別件さ」
近衛騎士団の幹部が利用する食堂の長いテーブルにはテーブルクロスがかけられ、銀の燭台にカーペットとシャンデリアまで。豪華絢爛だけど、ピッツァさんの前には料理が山盛りのお皿が20ほど。こんなに細いのに、身体のどこに入るんだろう。
「騎士団長から別命があったが、その件だろう」
アスター王子がパンをちぎりながらそう言う。別命だの別件だの、わたしにはさっぱりわからない。
「ああ。なんか、ノプットの龍騎士が急に来るとかなんとかな。しばらく滞在するから警護よろしくね!って言われたぜ」
「へー…」
ピッツァさんから聞いた龍騎士という称号……ブラックドラゴンの件で国王陛下から授けられそうだったけれども、まだ未熟だからと辞退した。それは後悔してないけれども。
「えっと……お母様から聞いたことがありますけど、ノプットでは今も竜騎士が当たり前に現役なんですよね?」
2人に質問をしてみると、スープに取り掛かったアスター王子が「ああ」と答えてくださる。
「なんでも、あちらでは常に1000頭の騎竜と1000人の竜騎士がいるらしい。その最高の称号が龍騎士。竜騎士団専用の養成学校もあるみたいだな」



