【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


ピッツァさんが語るソニア妃の武勇伝は、さすがとしか言いようがない。

「ま、もともとソニアは故郷のノプットで龍騎士してたからな〜なんか、ばあちゃんに憧れてたから…なんだとか」
「それは初耳だな」

意外や意外。ご子息であるアスター王子も知らなかった事だったんだ。

「確かに、かの国ではドラゴンがこのゼイレームより遥かに多いと聞く。竜騎士は千人規模でいるらしい」
「へえ、そうなんですか。確かにノプットは独立した大陸ですし…自然も豊かみたいなので、たくさん幻獣もいそうですね」

わたしが今まで会った幻獣はブラックドラゴンとユニコーンだけだったけど、そういえばお母様が寝物語でよくノプットの妖精の話をしてくださったっけ?
確か、おばあさまが仲良くしていた風の妖精……シルフだったかな?と子どもの頃会った事があるとか。

「そうさ。あと、ちょろっと耳に挟んだけど……ミリィの祖父さん祖母さんも龍騎士だったとよ……考えてみりゃ、すげぇ家系だよな」
「え、それ本当?」

ピッツァさんからの情報に、あたしも驚いた。
ノプットにいるお祖父様お祖母様はあまりお会いした事がない。2人とも優しくて…お祖父様は背が高くダンディなお方で、お祖母様は少し小柄だけど元気がいい。わたしはよく、外見はお母様に。性格はお祖母様に似てると言われた。

60を過ぎたお二人はお会いするといつもかわいがってくださって。ニコニコ笑顔の御二人には、とても龍騎士なんて勇ましいイメージと結びつかない。

「そうさ。ま、ソニアはノプットの有力なコネがあるし、笑顔でごり押ししそうだから大丈夫じゃね?あんま心配すんなよ」

バンバン、とピッツァさんに背中を叩かれたけど。ソニア妃が本気になるなら、大丈夫そうな気がした。