これは、思わぬ副産物かもしれない。
アスター王子にその考えを話したら、彼もそうだなと賛同してくれた。
「……父上も根回しを充分にしてくださってはいるが、やはりオレの立太子には大貴族の反対が大きいそうだ。そういう場合は戦果以外の実績を積み上げるしかない」
(権力闘争……か。あまり縁がなかったけれども、確かにレスター王子を国王にするわけにはいかないものね)
わたしも内心複雑ではあるけれども、ここはひとつ腹をくくるべきだろう。大切な同僚仲間の将来にも関わってくる話だ。
「ま、あんま心配いらねえんじゃねえか?」
わたしたちの話を聞き流して大あくびしたピッツァさんが、涙目でのたまう。
「たぶん、ソニアがごり押しするかんな。笑顔で国を一瞬で殲滅できる国内最強の魔術師に脅されてみろよ?威圧感ハンパねえかんな」
……ん?なんか今、ピッツァさんが不穏な発言をしたような……。
「えっ……と、ピッツァさん。今の御母上様に関する発言で……とんでもない言葉が聞こえた気がしますけれども……」
「ん?どれだ?」
「笑顔で国を一瞬で殲滅……ってところです」
「ああ、それか〜」
ガリガリとピッツァさんは頭を掻くと、「アタシが小姓で着いてた時だけどな」と前置きして、話し出す。
「隣の小国……ザガロアだっけ?その国との境で組織的な盗賊の討伐に向かったんだけどよ…実は、ザガロアが主導して盗賊を働いてたんだわ。小国ゆえに、他国との国境を利用して富をかすめる。その被害は甚大でな…怒ったソニアがザガロア王宮に乗り込み、国王を前に笑顔で国を壊滅状態にさせたんだよ…もちろん、誰一人殺してねえがな。で、国王をとっ捕まえた」



