ピッツァさんが意味深長な問いかけをしたから、とりあえず答えてみた。
「うーん……マリア王女……ではないですよね、さすがに」
侯爵邸から脱出する時に多少仲良くなっているはずだし、あの聡い王女様ならば同情したら行動は素早いと思うけど。
「半分正解だな。確かに、マリア王女からも誰もいないなら…って申し出はあった。けど、その前にな。同行してたトムソンが自ら提案してきたんだよ。引き受ける人がいないなら…ってな」
「えっ!?」
トムソンが…?
(なんでだろう?ローズ嬢と会ったのは今回で2度目で、しかも短時間でしか接してないのに)
初めて会った1ヶ月前だって、そう親しくはなっていないはずだけど。今回の件でなにか激的な変化でもあったのかな?
色々想像を巡らせても、よくわからない。
そして、ピッツァさんからより驚きの報告がなされた。
「けどさ、トムソンはローズと縁もゆかりも無いだろ?そのまま申請しても認められる可能性はあんまりないって言ったらよ、“じゃあ婚約します。婚約者なら大丈夫ですよね”…って。さすがにアタシもぶったまげたぜ。身元引受人になるだけのために、わざわざ婚約までするかねえ」
「え、トムソンが……ローズ嬢と?」
「ああ。王宮での滞在が終わったら実家に連れてくとよ。今んとこまだバーベインの地位は剥奪されてねえから、ローズは侯爵令嬢だ。貴族院でバーベインが裁かれ罪が確定するまではな。だから、国王陛下の裁可さえされれば晴れて正式な婚約者ってわけだ」



