「アスター王子、気をつけてください!」
「わかってる!はっ!!」
走り込むアスター王子に向かい爆炎が襲い来るけど、彼は剣を一振させただけで完全に消滅させる。
ありとあらゆる魔術で次々と攻撃されても、余裕で無効化していった。
それだけでなく、いつの間にか編み出した魔術で魔術師の周りを囲い込む。おそらく拘束系の魔術だろう。魔術師を中心にドーム型の光が円陣を中心に展開されていた。
魔力のないわたしから見ても、すさまじい魔術の攻防だ。
アスター王子のおっしゃる通り、おそらく魔術師の方が魔力は強い。アスター王子の魔術は何度も打ち消されていたから。
でも、アスター王子は諦めなかった。しつこいくらいに何度も、何度も、同じ魔術を発動する。
(わたしも……なにか、なにかしなければ!ここで突っ立って見てるだけなんて役立たずは嫌だ!)
でも、魔力が無い以上は魔術の攻防で手出しはできない…悔しさから歯を食いしばっていると、あることに気づいた。
(アスター王子……魔術師に近づけてない?)
ずっと戦いを見ていたけど、アスター王子は魔術師から半径3メートルほどの距離にしか近づけてない。何度も何度も近づこうとはしているけど、そのたびになにかに阻まれている?
(どういうことだろう?なにか……ある?)
わたしが疑問を抱いた瞬間構えていたブラックドラゴンの短刀が紅く光り輝き、その炎がなぜか魔術師へ向かう。
「わわっ……えっ!?」
当然、それは魔術師に阻まれたけど……炎は消えるどころか、魔術師を取り囲むようにドーム状に展開して魔術師を完全に閉じ込めた。



