【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


従騎士同士で模擬練習もできるけど、やっぱり熟練者の指導も受けたいし訓練を見たい。
最近アスター王子は忙しくてなかなか見て貰えないから、それならば他の騎士に空いた時間に見ていただけたらありがたいんだよね。

「6月の結婚式の警備についてなどであなたがお忙しいのはわかっていますから、無理に頼むわけにはいきません。ぼくはなんとか自分で訓練しますから、心置きなくお仕事に集中してください」

アルベルト殿下は臣籍降下されるとはいえご長子で第1王子だし、妻となるソフィア様はゼイレーム王国で貴族の筆頭公爵家の令嬢。薄いけど王家の血も引いてらっしゃる。だから、国を挙げての慶事で結婚式では諸外国から要人などの賓客が招待される。
それだから今からしっかりと警備計画を詰める必要があり、近衛騎士団を筆頭にワイバーン騎士団やフェニックス騎士団等の騎士団。それから近衛兵等の兵団も協力しあい入念に調整されているはず。

招待客の出席の可否もそろそろわかる頃合いだろうし。近衛騎士団の幹部に近いアスター王子もますます忙しくなるだろう。

でも、アスター王子は口に手を当ててしばらく考え込んだあと、とんでもない事を言い出した。

「……いや、ミリィの指導はオレがする」
「え?話、聞いてました?あなたは忙しいんですから…無理なさらないでくださいよ」
「おまえは、オレの従騎士だろう?」
「確かにそうですけど…」
「なら、オレが育てるべきだな?」
「……はぁ?」

そんな得意満面のドヤ顔で言われましてもね…。

「……まあ、ゾンビにならない程度に頑張ってくださいね」
「耳をほじりながら言うな!」