とりあえずアスター王子がからわれ続けるのは気の毒なので、助けることにする。かかあ天下とか尻に敷かれるの意味はわからないけど。
「マリア殿下、国王陛下の許可を頂いてない以上どんな危険があるかわかりません。絶対わたし達から離れないようお願いします」
「わかっておるぞ!わらわとて、一国の王女じゃ。ただ好奇心で遊びに来たわけではない」
わたしが場を仕切り直すためにマリア王女に注意を促せば、彼女は真面目な顔で意外な話を口した。
「ドン・コレッツイファミリーの噂は聴いておる。城を抜け出して街中におる時に、何度も耳にしたわ。大抵悪質な犯罪絡みじゃ。わらわが街で親しくなった者に、ドン・コレッツイに財産すべて奪われた上に家族全員を殺された者がおってな……さすがに許せぬと思うたのじゃ」
意外や意外だった。
ただの興味本位で遊びに来ただけだと思ったのに、マリア王女は友達(?)のために、わざわざバーベイン侯爵のパーティに乗り込んで来たんだ。
(そりゃそうか……でなきゃフランクスが命じられただけでついてくるはずないもんね)
たぶん、フランクスは事前にマリア王女から目的を聞かされていたんだろう。だから、騎士見習いとして見過ごせない、と帯同を決意したわけだ。正義感は誰よりも強いから。
「あっはっははははは!こんなおチビちゃんがコレッツイの恐ろしさを知りながら、わざわざ乗り込んで来たんだな!面白い。気に入ったぜ!」
なぜかピッツァさんが大笑いをした後、上機嫌でマリア王女の背中を軽く叩いた……それ、王女殿下にめちゃくちゃ失礼ですからね?



