【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


エストアール家に養子入りする昔なじみで遠縁のレトムだった。わたしとアスター王子の婚約について話し合った時以来だったから、ちょっと嬉しくなってしまう。
彼も髪をしっかり整え、パーティ用の盛装でブラックをベースにしたスリムなジャケットとズボンスタイル。それがまたピッツァさんの情熱的なドレスと似合ってた。

「久しぶり!今日は来てたの?」
「ああ、ピッツァのパートナーでな」
「えっ、ピッツァさんの?」

意外な言葉に思わずピッツァさんを見ると、彼女には珍しく苦笑いをして呆れ顔を作った。

「コイツがよ、しつけーんだわ。パーティのパートナーにしろってさ招待状来た日に申し込みに来やがって…それから毎日毎日、断っても断っても日参しやがってさ。アタシとしちゃ、従騎士のユリウスをパートナーにするつもりだったんだけどさ。まぁ、そのうちめんどくさくなってOKだしたんだわ」

親指で後ろのレトムを指さしながらピッツァさんが話すけれども、わたしはそれ以上に気になることを思わず訊いていた。

「2人は知り合いだったんですか?」

レトムが頷いて教えてくれたけれど、ピッツァさんが茶々を入れてきた。

「ああ、ピッツァが俺のいた地域に事件の調査に来た時にな」
「あん時は楽しかったな〜調査費で毎日毎日呑めた天国みたいな日々だったぜ」
「……本音漏らすなよ。騎士に憧れるミリィの夢に傷がつくだろ?」
「あははは!こんくらいで傷つくやわな夢じゃねえよ。な、ミリィ!」
「……はぁ、まあ。ピッツァさんなら特に驚きませんけど」

それより驚いたのは、2人のずいぶんくだけた態度。結構親しくなっているのかな?