【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


近衛騎士団には数千人以上の騎士や従士が所属していて、広大な敷地の中で見習いと正式な騎士の鍛錬場は分けられてる。騎士でも鍛錬場はいくつかあって、隊ごとに分けられてる。


(やってるやってる…)

最近、アスター王子を迎えがてら騎士の鍛錬や訓練を覗くのが楽しみになってた。
騎士を目指すわたしには、ためになることばかり。

本物の剣を使った打ち合いはやっぱり緊張感が段違いで、一合一合が真剣勝負。

アスター王子はどうやら隊員たちの指導をしているらしく、数人相手に打ち合いをしてた。

一応、あれでも500人を束ねる騎士大隊の隊長なんだよね…アスター王子は。普段は変人だから忘れがちだけど。

「来い!」
「「「はい!」」」

アスター王子の声を合図に、数人の騎士が同時に剣で斬りかかる。ほぼ同時の剣戟をアスター王子は両手持ちの剣で受け流し、態勢を立て直すスキも与えずに倒していく。

「レイ、踏み込みが甘い、ためらうな!ナッシュは力まかせに振りすぎだ!ガストンはもっと合った剣を使え!フラムは剣戟に重さが足りない。全身の筋力アップをしっかりしろ!」

そして、アスター王子は短時間のうちに部下の弱点を見抜いて的確な指摘をしていた。

(やっぱりすごいな…アスター王子は。こんなすごい人の従騎士になれたなんて…)

アスター王子が本気になったら、わたしなんて足元にも及ばないけど。それでも、少しでも近づけるように頑張ろう!と改めて決意をした。